骨折について

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骨折治療は最初が肝心

ワンちゃんやネコちゃんの骨折治療は決して簡単なものではありません。初めの治療が適切でなければ、治りが悪かったり、骨が曲がってくっついてし まったり……。また、しっかりとくっついていないために再び骨折を起こしてしまうケースも少なくありません。そうなると、大切な家族であるワンちゃん、ネコちゃんは大きな負担を強いられることになってしまいます。

実は・・・骨折の治療は、骨が折れてから数日の間に、どんな治療をしたかということが、その治癒に大きく影響します。動物は(人間も含め)骨折を自分で治す力があります。自己治癒能力です。骨折に関して、どんどん骨折を治すための細胞や蛋白が産生されるのが、初めの2週間だけなのです。しかも初めの数日間で骨折部にはものすごい変化が訪れ、治癒の足場固めをします。ですから、初めの数日間に骨折部をブラブラと動くままに放置したり、2週間の間に大きく動かしたり、骨折部を手術で大きく開いたり触ったり、という治療をすると、良い骨癒合(骨がくっつくこと)が起こりにくくなります。

当院では、ワンちゃんが骨折したら、なるべく早い時点で骨折部を寄せてギプス固定します。それはその後の治癒を助けることになり、しかも一刻も早く「痛みを取る」ということにもなります。骨折部はブラブラ動いていると、非常に痛いのです。すぐに痛みを取るためにギプス固定をしましょう。

初めにギプス固定しておき、その後、手術をすることも考えます。もしも手術無しで行けそうだと判断できたなら、手術はしません。当院では、「不必要な手術はしない」という主義です。もしもどうしても必要であれば、ワンちゃんネコちゃんにとって、極力ダメージの少ない手術を実施します。最小侵襲というのは、身体へのダメージがもっとも小さいという意味です。

骨折の症状

骨折の症状は、部位や程度によって異なりますが、もっとも多く見られる症状は局所の「痛み」「腫(は)れ」です。ワンちゃんに特に多いのが 「前足の骨折」です。椅子やソファの高さからジャンプしただけで、骨が折れてしまうケースはよくあることです。骨折すると、折れた前足をかばうように上げたまま歩く、足を引きずって歩くなどの歩行障害が見られるようになります。

主な骨折治療法

ワンちゃんの骨折治療の主な方法としては、「プレート法」と「創外固定法」、「髄内ピン法」「副子固定法」の4つが挙げられます。

  • プレート法
  • 創外固定法
  • 髄内ピン法
  • 副子固定法

プレート法

簡単に言えば、骨折箇所を開き、骨を見ながら金属の板(プレート)を直接骨に当て、ネジで留める治療法です。

メリット
  • 骨折した骨を精密に元の形に戻して固定することが可能です。
  • 手術した翌日から歩くことができます。
  • 外見的にも皮膚の外に何も金属物が露出しません。
デメリット
  • 大きな切開が必要なため、身体への負担は大きくなってしまいます。
  • 骨折部にダメージを与えてしまうので、骨折を治すための新生骨(仮骨)が作られにくく、骨折した骨の癒合するスピードが遅く、癒合したあとの強度が弱いのです。
  • 癒合する程度が弱いので、再骨折することがある
  • プレートを取り付けた部分では、骨折の治癒が進みにくいので、だんだんとプレートと骨が緩んでくることがあります。固定状態が壊れていくことがあります。
  • プレートが折れたり外れたり、ネジが折れたり外れたりすることがある
  • プレートをずっと長い間あてたままに しておくとプレートが当たっている箇所の骨が細く痩せていくことがあり、結果としてまた骨折してしまう可能性があります。
レントゲンで見る症例

創外固定法(そうがいこていほう)

ネジ付きの金属製ピンで、皮膚の外から骨を固定する治療法です。骨折が治癒するプロセスにおいては、折れた骨と骨の間にできる新生骨つまり「仮骨」が非常に重要な役割を果たします。筋肉と骨の間にある「骨膜」に血液が行き届くことにより仮骨が生成され、これが骨となり、骨折が治っていくのです。
また、創外固定法は、仮骨が骨の周囲全体にしっかりと生成されるのが特徴です。大きく皮膚や筋肉を開かないため、仮骨が充分に作られ、骨折を速く強く治します。

メリット
  • 治癒が早い(骨膜を剥がさないので、仮骨がしっかり生成される)
  • 強い骨ができる(骨膜が十分にその役割を果たすため骨強度が高まる)
  • 患者様の負担が少ない(骨折箇所を切開する必要がない)
  • 開放骨折や粉砕骨折、関節付近の骨折などの難症例にも対応できる
  • 治癒後には、一切の金属インプラントは残らない
デメリット
  • 皮膚から金属のピンが露出しているので、外見が悪い
  • 放し飼いのワンちゃんやネコちゃん、野良ちゃんには不向き
  • 緩まない金属ピンを入れるために、高い技術が必要とされる
レントゲンで見る症例

髄内ピン法

骨はもともと「竹輪(ちくわ)」のように中が空洞になっています。いわゆる「骨髄」と呼ばれる部分です。この骨髄部に金属ピンを通すことによって、骨折部を支えようとする方法です。骨折部を開いてピンを通す方法と、まったく骨折部を開かず、他の部位から差し込んで骨折部にピンを通す方法があります。
メリット
  • 骨折部を開かないでピンを通すことができれば、手術も早く終わり、治癒も速くなる
デメリット
  • 骨折部を固定する強度が弱いので、ギプスも一緒に用いるが、固定強度が弱いのが難点
レントゲンで見る症例

副子固定法

いわゆるギプス固定です。一見原始的な治療に思われがちですが、意外と効果が上がることがあります。骨折部での完全な形は戻せないものの、まったくキズを開かないで治せるので、その治癒スピードは非常に短く、強く治ります。治ったあと、形も徐々に原型に戻っていきます。ただし、この方法を用いるのは、生後1才未満の若いワンちゃんネコちゃんに限られます。
メリット
  • 手術しないでギプスだけで治療できるので、麻酔時間が短く生体に与える負担が少なくて済み、キズも開かない料金も安く済む
  • 速く強く骨折部を治せる
デメリット
  • 骨折部を完全に原型に復することができません。
  • 固定状態を保つために、良いギプスと技術が必要

副子固定法

骨の断面図

ひと昔前は、ワンちゃんやネコちゃんの骨折した箇所を固定するための方法はプレート法しかありませんでした。しかし現在は、プレート法以外に数多くの優れた治療法があります。骨折治療において当院が重視しているのが「骨折が治った後の骨の強度」です。そして、再びトラブルを招くことがない丈夫な骨をつくるために採用しているのが「創外固定法」です。当院では骨折した場所や症状によっては、創外固定法と副子固定法を組み合わせたり使い分けたりして、骨折治療を行っています。


骨の表面には「骨膜」というものがあります。骨膜は、骨折を治すための仮骨を生成し、骨折を治すためには非常に重要な役割を果たすとともに、骨折が治った後の骨の強度にも大きな影響を与えます。創外固定法は、その骨膜を剥がさずに骨折した箇所を固定できるため、治った後には丈夫な骨が得られます。また切開の必要がないため、身体への負担が少なく済み、「より早く」「より確実に」骨をくっつけることができるのです。

プレートで固定した場合と創外固定法で固定した場合の比較
プレート法
プレートを当てていない箇所にかろうじて仮骨ができますが、骨折箇所全面に仮骨ができていないため、プレートを外すと再骨折を引き起こす可能性が高くなります。
創外固定法
骨折箇所が覆われていないため、全面に仮骨ができ、再骨折する可能性が少なくなります。

ご家族の皆様へ~骨折はしっかり治しましょう~

骨折には様々な治療法があり、犬種や骨折の部位・程度によって異なります。冒頭でも申し上げたとおり、適切な方法で適切な治療を行わないと、そのときは治ったように見えても、将来、深刻なトラブルを引き起こしてしまいます。大切なペットに負担をかけたり、不自由を強いたりしないようにするには、信頼できる動物病院を見つけること大切です。

当院では、最先端の治療を取り入れた骨折治療を行っています。骨折治療は最初が肝心。「骨折しているかもしれない……」「足をかばって歩いている……」など、骨折が疑われるようでしたら、すぐに当院にご相談ください。

同じ創外固定法でも、いろいろ有ります。骨折部を大きく開くもの、骨折部を極力開かないもの、があります。当院の創外固定法は、骨折部へのダメージを小さくして仮骨を産生させ、骨折を速く確実に強く治すために、「エレバトリウム」という特殊な器具を用いて、数mmという極小のキズをあけるだけで、折れた骨と骨を絶妙に寄せていきます。そうやって骨の形を整えておいて、創外固定のためのネジ付き金属ピンを精密な電動ドライバーを使って挿入していきます。最後に金属ピン同士を、石のように固くなる特殊なパテで固めていきます。このように最小侵襲(もっとも小さいダメージ)で手術をしますので、治りが早くて強いのです。

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